H3Yは、Mgを含む3000系及び5000系合金板並びに5000系合金の引抜管及び引抜棒・線に適用する。これらの合金は冷間加工したH1Yの状態のままで長期間放置すると、耐力がわずかに低下し、伸びが増加する。このような経年変化を防止するため、冷間加工後150〜175℃で1〜3時間の加熱を施すが、この加熱処理を安定化処理という。
表3.29は、船体構造用の5000系合金で主に用いられる質別Hの細分記号であり、JIS規格にないものも含まれている。3.1.1で述べたように、我が国の高速艇はA5083P−H32及び同・O合金板とA5083S−H112合金押出形材、漁船ではA5083P−O合金板がそれぞれ主構造材料であるが、「高遠船構造基準」によってASTM規格による5456合金の質別H116(板材)とH111(押出形材)が加えられた。
質別Tは、展伸材及び鋳物材の熱処理型合金に適用され、その細分記号(TXY)は基本記号丁の後に、常に一つ又は二つ以上の数字を付ける。Tの後に続く数字Xは1〜10まで規定されているが、上部構造等に用いる6000系合金及び艤装品関係鋳物材に関連するもののみを表3.30に示す。次に続くYは、二つ以上の数字を並べて用いることもあるが、上述の材料の場合にはほとんど用いないので省略する。
表3.29 船体構造用5000系合金の質別Hの細分記号
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